活性酸素とは?
活性酸素は、私たちが生きて呼吸をしている限り、常に体内で発生しています。
私たちは、日頃の食事によってカロリーや各種栄養を摂取し、それを体内へ吸収してエネルギーに変換しています。でも一体、体のどの部分でエネルギーへと変換しているんでしょうか?
実は、全身にある細胞ひとつひとつの内部でエネルギーを生産しているんです。そしてエネルギーの生産時に「スーパーオキシド」という活性酸素が発生します。
スーパーオキシドは有害な活性酸素ですが、体内にはスーパーオキシドをすみやかに除去する機能が備わっています。スーパーオキシドが発生すると、体内の「SOD酵素(スーパーオキシドディスムターゼ)」という酵素によって「酸素」と「過酸化水素」へ分解することで除去します。これが活性酸素から身を守るための最初の防衛システムです。
私たちは常時呼吸をして、体に酸素を取り入れています。そのほとんどは、水素と結合して水になるのですが、中には分子構造にゆがみを生じた安定しない酸素も出現し、これを活性酸素と呼びます。
呼吸によって摂取した酸素のうち約2%~4%がこうした不安定な状態にあるといわれており、これらの酸素は早く安定しようと、結合できる相手を探して、がむしゃらに暴れまくります。
活性とは、その性質を表したものです。「活性酸素」は、私たちの体内に侵入してきた細菌などの病原体を排除する作用も持っていますので、問題なのは過剰に活性酸素が発生した場合です。
現在の生活環境では、活性酸素の過剰発生をもたらす原因が蔓延しており、都会で生活をしている人は30年前の1000倍の活性酸素が発生していると言われています。
ストレス・タバコ・アルコール・大気汚染・放射線・紫外線・農薬・食品添加物・薬などの化学物質・車の排気ガス・電磁波など、身近な様々な要素が活性酸素を生み出すことが分かっており、スポーツなどで大量の酸素を消費したときも、過剰な活性酸素が発生します。
過剰に発生した活性酸素は、脂質と結合して「過酸化脂質」となり、異物を溶かす作用が過剰になって正常な細胞まで貧食し、私たちの体をむしばんでいくのです。
ありとあらゆる病気に活性酸素が関与していることが最近になってわかってきています。老化及び病気の90%以上は、活性酸素が原因とも考えられています。
酸化と老化
地球が誕生した46億年前、地球上にはほとんど酸素はありませんでした。現在の生物にとってなくてはならない酸素は、海で発生した藻類などが光合成をして少しずつ作り出し、20億年以上もかけて作られました。ほとんどすべての動物はこの酸素を使って体内の栄養分を分解し、エネルギーを作り出しています。
40代になると、多くの方が急に年齢を実感しますが、その理由は、30代までは日々身体の中で生まれる活性酸素を自然に取り除く“抗酸化酵素”のパワーが、40代になると急激に減少してしまうからです。
抗酸化酵素が減少してしまうと、除去しきれなかった活性酸素が毎日溜まっていきます。 そうして身体の酸化、つまり老化のスピードが加速してしまうのです。
酸化とは
物が酸素と結びつく働きを「酸化」といいます。例えば、鉄が時間とともに錆びていきます。これは鉄が空気中の酸素によって酸化されたためです。りんごを切ってしばらくたつと、切り口が茶色に変化してきます。これも、りんごの成分が空気中の酸素によって酸化された結果です。このように酸素に触れたものは必ず酸化していきます。
人間の体は約60兆個の細胞から作られています。そして一つ一つの細胞が血液から酸素と栄養分を受け取り、酸素で栄養分を燃やして(酸化させて)エネルギーを得ています。
人間はエネルギー発生の過程で酸素を必要としますので、その際に使われる酸素に触れたものが(細胞膜、DNAなど)が酸化します。細胞が酸化してしまうと、その機能を果せなくなり、様々な病気につながっていくのです。
老化とは
人間の遺伝子には、最低90歳~120歳まで生きられるようにプログラムされています。それもなんとか生きているというレベルではなく、元気に病気もせず生きていけるということです。そしてある日、遺伝子に組み込まれた時間が過ぎると「輝き続けた電球がぱっと消えるように」天寿を全うします。
しかし、多くの人は40歳前後から老化が始まり、60歳前後で病気が発病し、徐々に弱りながら死を迎えます。これは年をとるにつれ体の細胞が酸化され、錆びてボロボロになってしまうからです。
活性酸素の種類
一言に活性酸素といっても、その種類は一つではありません。水素の活性酸素除去効果について説明する前に、まずは代表的な活性酸素についてご紹介します。
スーパーオキシド
これは最も一般的な活性酸素です。大量に発生しますが、もともと私たちの体内にはこれを分解するいくつかの酵素があるので、スーパーオキシドの存在自体は心配する必要はないと言えるでしょう。
ヒドロキシラジカル
強い酸化力を持ち、私たちの体内の脂質、タンパク質、糖質、核酸などを酸化させていきます。それによって、細胞器官や細胞膜、DNAに障害がもたらされ、やがて老化や疾患に繋がるというメカニズムが働くため、悪性度の高い活性酸素です。
過酸化水素
過酸化水素は私たちの生活に必要な物質であり、これ自体は安定な物質ですが、上記のヒドロキシラジカルに変化してしまうこともあります。過酸化水素は善玉にも悪玉にもなりうる活性酸素だと言えます。
一重項酸素
一重項酸素は、紫外線があたる際に発生する活性酸素です。
ヒドロキシラジカルはコラーゲンやエラスチンなど皮膚の若さを保つタンパク質を破壊するため、肌の天敵でもあります。
私たちの体内では、もともと細胞内のミトコンドリアがエネルギー生産の過程で少量の活性酸素を発生させています。このような活性酸素は有害というよりむしろ人体の生存に必要で有益なものです。しかし、日常生活のストレス、不眠、紫外線、タバコや大気汚染など様々な要因によって、いわゆる「悪玉活性酸素」が生じると考えられています。
そして、その悪玉活性酸素こそが私たちの身体に様々な老化現象や病気を引き起こす元凶だと言われています。その悪玉活性酸素が、炭水化物や糖類、アルコールによる糖化、感染や外傷、アレルギーによる炎症などとあいまって細胞へダメージを与え、病気や老化現象を招いてしまうのです。
悪くなる一方の生活環境に住む私達が、活性酸素の脅威から逃れていつまでも健康に生きられるためにはどんなことを心がけたらよいのでしょうか。
人間を始め、ほとんどすべての生物は、酸素を使って体の中で栄養分を分解し、エネルギーを得て生きています。この酸素が他の物質と結び付くことを「酸化」と言います。人間の体は、約60兆個の細胞からできていますが、その一つ一つの細胞が血液から酸素と栄養分を受け取り、酸素で栄養分を分解してエネルギーを得て生きています。
体が健康であるということは、体のすべての細胞に酸素と栄養分が十分いきわたり、細胞が元気だということです。ところで、空気中の酸素は比較的安定していますが、呼吸によって体内に取り入れられた酸素は、エネルギーを作り出す代謝の過程で極めて不安定な状態になります。
そして不安定になると、近くにある物質と盛んに結びつこうとします。この時の酸素は大変酸化力が強く、これが「活性酸素」と呼ばれるのです。
生きていくために吸った酸素の中から毒性の強い活性酸素が作り出されています。これが細胞を傷つけて、ガンや心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を引き起こします。さらに、アトピー性皮膚炎、シミ、シワの原因となったり、老化のスピードを早めたりもしています。
活性酸素はあたかも小さな危険物のように体内を転げまわり、触れたものなら何でもかまわず破壊していきます。初めは小さい破壊部分も、抑制されないままだと細胞の損傷と病気を広げていくのです。
特に、細胞膜を形成する脂質との結合を好み細胞膜を破壊するのですが、それはちょうど空気にさらすと料理用オイルが悪臭を放ったり、1日中ビーチに置きっぱなしになった魚(油)が腐ったような匂いになるのと同じことです。
活性酸素の影響を受けると、動脈や静脈を配列する細胞に致命的なダメージを与え、血管を弱らせます。すると、血管は傷つきやすくなり破裂を起こしたり、動脈の硬化を進行させる(アテローム性動脈硬化)動脈凝血プラークを誘因することもあります。
呼吸によって体内に取り入れられた酸素のうち、約2~3%が活性酸素になるといわれています。このように、酸素を吸って生きている人間にとって、代謝の過程で発生する活性酸素の害は避けることのできないものです。
しかし、活性酸素は、私たちが生きていく上でなくてはならない極めて重要な働きもしています。その一つが、殺菌や解毒作用です。体内に細菌やウイルスが侵入してくると、好中球やマクロファージと呼ばれる免疫細胞は、自らも活性酸素を作り出し、その強い殺菌力で病原体や有害物質を退治してくれます。このように活性酸素は、有益で頼りがいのある物質であると共に、それが過剰になれば今度は恐ろしい害をもたらすのです。
活性酸素が発生すると、体にもともと備わっている抗酸化物質(スカベンジャー)が消去してくれるので、体は安全に守られているわけです。
私達が抗酸化物質の必要な訳は、有害な活性酸素に満ちた世界に住み、一息ごとに吸い込んでいるためです。もし酸素がなくてもやっていけるなら、抗酸化剤は必要なくなることでしょう。とりわけ地球上では、私たちの細胞が酸素を要求していることから、酸素の反応で生じる因果関係の中で生きていかなければならないのです。
しかし、次のような場合は、通常の呼吸によって発生する何倍もの活性酸素ができてしまい、これがいろいろな病気を引き起こす元となります。
◆激しいスポーツ、肉体的にきつい仕事などで大量に酸素を消費したとき。
◆高密度の酸素吸入により多量に発生する。
◆体内に病原菌が侵入してきたとき。
◆タバコを吸ったり、車の排気ガスや工場の排煙を吸ったりしたとき。
◆大きな手術をしたり、強いストレスを感じたとき。
◆大量の紫外線(海水浴、テニス、ゴルフ他)を浴びたとき。
◆放射線(レントゲン、CTスキャン、放射線療法)を浴びたとき。
◆体内に食品添加物、洗剤、農薬、医薬品などの化学物質が入ってきたとき。
◆電磁波(携帯電話、パソコン、電子レンジ、高圧線、OA機器)を浴びたとき。
◆飲酒(飲み過ぎは大量の活性酸素が発生)
◆ストレス。
このように、文明が発達すればするほど大量に発生するわけです。
活性酸素は直接、間接に全疾患の90%以上に関与しています。
1980年代に『ガンができる原因は過剰な活性酸素の発生による』という研究結果が続々と発表されました。さらに研究が進むにつれて、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病も『大量の活性酸素によって生じた過酸化脂質が原因である』ということも明らかになりました。そして、活性酸素は花粉症等のアレルギー疾患の原因であり、活性酸素は老化の最大の原因ということも明らかになりました。
活性酸素を無毒化するには?
活性酸素を無毒化する作用を持つのは、SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)を代表とする『抗酸化酵素』や、ビタミン・ミネラル等の『抗酸化物質』です。
「活性酸素」と[SOD」等のバランスによって、私たちの健康が保たれているわけですが、20歳の抗酸化力を100%とすると、40歳位には80%になってしまいます。
そして40才からは10歳ごとに、20%位づつどんどん落ちていきます。50代で60%、やがて80代で0%です。平均寿命ともピッタリ一致します。抗酸化能力が旺盛な20歳位までは、ファーストフードばかり食べていても元気でいられるでしょう。
しかし、その時期をを過ぎると、過剰な活性酸素が発生するのに、抗酸化能力が衰えていく一方なのです。
抗酸化酵素を作る力が衰えていくなら、外から抗酸化物質を補給しなければなりません。元気で長生きしたい、いつまでも美しくいたいと思うのなら、今すぐ抗酸化物質の摂取を考えるべきでしょう。もちろん、食生活も注意したいものです。